本、展覧会、映画、ダンス・演劇のパフォーマンスなど。文学、美術などの芸術、ヨーロッパ、英語に加え、フランス語や中国語、およびその文化にも興味がある。
by cathy_kate カテゴリ
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『あひる』今村夏子著「あひる」は、家族が飼うことになったあひると、それによって変わっていく状況と、全く変わることのない人たちの物語。 語り手の「わたし」の透明性が怖い。役割を押し付けられ、記号化されてしまったような「あひる」が気の毒。語り手の弟も相当変だが、語り手の年老いた両親の方がもっと得体が知れないかもしれない。 同時収録の2編、「おばあちゃんの家」と「森の兄妹」は、実は連作だ。不思議な「おばあちゃん」は、しかし、おばあちゃんを見る人それぞれが見たいものだけを見て、ゆがんだ見方をしているだけなのかもしれない。家族なのに「よそ者」として生きてきたおばあちゃんは、かわいそうだが、おそらく本当は力強い。
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by cathy_kate
| 2019-08-11 21:08
| 第一幕 本
『こちらあみ子』今村夏子著今村夏子氏は天才。 太宰治賞と三島由紀夫賞を受賞したデビュー作である表題作「こちらあみ子」(「あたらしい娘」から改題)は、胸が苦しくなり、でも最後は胸が温かくなり、それでもやっぱり息苦しい。 家でも学校でも疎まれてしまうあみ子に、周囲の人がイライラしてつらく当たってしまう理由も少し分かってしまう。読者として罪悪感を覚える。あみ子は知能がやや低いのかもしれないが、誰も気付かないようなことを見ているようでもある。主人公なのに、「不気味」だ。 あみ子は恐ろしく冷たい人間のように思われることもあるが、悪気はなく(そこがまた恐ろしい)、あふれんばかりの愛情を持ち続けられる人でもある。そして、あみ子を愛する人たちもちゃんといるのだ。 「こちらあみ子」は傑作小説。文学賞を選定する人たちが見逃さなくてよかったと、心底思う。 同時収録の短い「ピクニック」は、うそをつく人間と、それを支え、補強していく人間たちの姿が描かれる。うそが、うそをついた人間を超えていくとき、何が起こるのか。 書き下ろしのごくごく短い「チズさん」は、高齢者が家族に寄せる複雑な心境が、心境について直接はほとんど何も書かれていないのに、浮き上がってくる。 どの作品も、書き手が人間ではないような気がする。それでいて、人間味のある優しさが、確かに背後に存在するのだ。温かい心を持ったAI(人工知能)が書いているみたい? #
by cathy_kate
| 2019-08-11 20:51
| 第一幕 本
『星の子』今村夏子 著主人公が幼いころに病弱だったことから、何かにすがるように「何にでも効く水」を大量購入するようになった両親。そんな両親に愛想をつかす姉。心配するおじ一家。主人公は、自分では信じていないけれど、両親には言えず、調子を合わせている。説明するとそうなるのかもしれないが、それでは説明しきれない、家族の関係が描かれている。新興宗教と、誰もが陥るかもしれない心の隙間。
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by cathy_kate
| 2019-07-30 22:33
| 第一幕 本
『母の前で』ピエール・パシェ著老いていく母親の発する言葉や記憶、息子である自分(著者)との交流を描いたノンフィクション。
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by cathy_kate
| 2019-07-28 01:21
| 第一幕 本
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